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李禹煥 (リー・ウーファン)「色のハレーション / 空間のハレーション」 SCAI THE BATHHOUSE 11/5~12/5

ART/DESIGN

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Written by sn22000 sn22000

日暮里のSCAI THE BATHHOUSEで李禹煥 (リー・ウーファン)の展示が11/5~12/5で行なわれている。李禹煥 (リー・ウーファン)は東京を中心に活躍している韓国出身のアーティスト。多摩美術大学の名誉教授も務めており、直島では安藤忠雄とのコラボレーションなども行っている。SCAI THE BATHHOUSEは銭湯を改築した美術館で、展示だけでなく建物を楽しむのもまた一興だ。

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「作る」ことをギリギリまで抑え、最小限の要素で構成される作品が李禹煥 (リー・ウーファン)の作品たちの特徴だ。

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李禹煥 (1936年〜)は韓国に生まれ、1956年より日本に在住し、60年代後半より「もの派」の中心人物として活躍。確立された独自の表現は、派の定義を越えて、現在に至るまで国内外で高い評価を得ています。
近年の主な活動として、2010年、香川県直島に李禹煥美術館がオープン。2011年にはNYグッゲンハイム美術館、2014年のヴェルサイユ宮殿での個展開催などが挙げられ、常に国際的な注目を集めています。

本展では、1968年の発表後に紛失した幻の絵画作品シリーズ ”風景” の再制作が展示されます。李禹煥の制作様式が確立する以前の貴重な作品で、以降の展開に通じる要素を多分に含み、非常に重要であると位置付けられています。近年出版されたカタログ、李禹煥美術館、グッゲンハイム美術館およびベルサイユ宮殿個展のいずれにおいてもテキスト中でこの作品について言及されています。

李禹煥の作品は、意図的に「作らない」ことによって「余白」を生み、制作行為を極力そぎ落とすことによって成立しており、ある空間に固有の緊張感と静けさを引き出しているのが特徴的です。
再制作される “風景” の、蛍光色のオレンジやピンクで塗られたキャンバスは、一見して今までのどの李作品とも接点がないようにみえます。展示をすると、強烈な色が画面内にとどまらず床や天井にまで反射するという現象が起こり、部屋そのものが色に染まってしまいます。絵画を観る鑑賞者が、空間そのものに包まれて、絵画・色に侵食されるという反覆した状況が生まれます。
この作品は絵画であることを超越して、場所に対して影響を及ぼす存在へと増長していくのです。
ただ色が塗られているという単純な状態が空間全体を脅かす影響をもたらすこの初期作品シリーズ “風景” は、その後「余白」の存在を作り出す、空間そのものを強く意識する李禹煥制作スタイルの礎のようにもとらえられます。
表現は異なるものの、知覚と空間に対する強い問題提起を有しているという点で共通しており、作家の制作に対する一貫した姿勢が感じられるのではないでしょうか。

今回の展覧会では同時に近作絵画も展示され、変容を対比しながらご鑑賞いただけます。是非ご高覧下さいますようご案内申し上げます。

 

 

SCAITHEBATHHOUSE

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日・月・祝日 休廊開廊時間:12:00 – 18:00

※展示替えの間は休廊

アクセス :

【JR日暮里駅から】

JR日暮里駅南口を出て左へ。
突き当たりを左、階段を上る。
道なりにまっすぐ進み、谷中霊園の並木道を通り抜ける。
突き当たりの信号を左に進み、その次の信号(谷中交番)の右手がギャラリー。

【東京メトロ千代田線根津駅から】

根津駅1番出口を出て、交差点を渡る。
吉野家とスーパー赤札堂の間(言問通り)をまっすぐ進む。
デニーズやセブンイレブンを過ぎ、「上野桜木」の信号(根津駅から4つめ)を左へ。
ひとつめの信号の左手がギャラリー。

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