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知られざる傑作を紹介する海外文学新シリーズ『ドーキー・アーカイヴ』第一弾が5月25日より刊行開始

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Written by ORE ORE

若島正、横山茂雄の責任編集による、知られざる傑作を紹介する海外文学新シリーズ『ドーキー・アーカイヴ』(全十巻)の第一弾が2016年5月25日に国書刊行会より刊行開始する。
第一弾のラインナップはL・P・デイヴィスの『虚構の男』(矢口誠 訳)と、サーバンの『人形つくり』(館野浩美 訳)だ。

L・P・デイヴィスは1914年イングランド西部・チェシャー州に生まれた英国のミステリ作家。薬剤師、郵便局長、検眼医などの職業を転々とした後、1964年に発表した『忌まわしき絆』でデビュー。日本では論創社から『忌まわしき絆』(板垣節子 訳)と、あかね書房より『四次元世界の秘密』 (白木 茂 訳)が翻訳されている。今作の『虚構の男』は1965年に発表された彼の第三作目にあたる。

L・P・デイヴィス 『虚構の男』

唖然とする展開、開いた口がふさがらなくなるラスト……早すぎたジャンルミックス作家L・P・デイヴィスによるストーリー紹介厳禁のサプライズ連打小説! 本邦初訳。

時は1966年、イングランドの閑静な小村で小説家アラン・フレイザーが50年後(2016年!)を舞台にしたSF小説の執筆にいそしんでいるところから物語は始まる。気さくな隣人、人懐っこい村の人々はみな彼の友だちだ。やがて一人の謎の女と出会い、アランの人生は次第に混沌と謎の渦巻く虚構の世界に入り込んでいく――国際サスペンスノベルか、SFか? 知る人ぞ知る英国ミステリ作家L・P・デイヴィスが放つ、どんでん返しに次ぐどんでん返しのエンターテインメントにして、すれっからしの読者をも驚かせる正真正銘の問題作!(1965年作)

サーバンは英国作家のペンネーム。本名はジョン・ウィリアム・ウォール、1910年生まれの外交官。翻訳されている作品も早川書房から出版された『角笛の音の響くとき』(永井淳 訳)のみで、謎の多い作家だ。作品量も多くなく、5作を数えるのみである。今作の『人形つくり』は1953年の作品で、併せて1951年のデビュー作『リングストーン』が収録されている。

サーバン 『人形つくり』

独特のエロティシズムと精緻な文章で綴られた、徹底した被支配関係から生じる恍惚と恐怖……謎の英国作家サーバンによる戦慄の幻想譚を2篇収録。本邦初訳。

田舎屋敷に家庭教師として雇われた女子大生が謎めいた子供たちと過ごす夏休みは、次第に奇怪な様相を帯びていく……古代異教世界が顕現する「リングストーンズ」(1951年)。女子寄宿舎学校を舞台に、少女が人形つくりが趣味の青年と出会い、やがて彼の人形のモデルになる。しかし、その青年の真の正体とは……服従と束縛の快楽が横溢する怪異譚「人形つくり」(1953年)。繊細で喚起力の強い文体を通じて、徹底した被支配関係から生じる魅惑と恐怖が織りなす荒々しいマゾヒズム的快感が描写される、知られざる英国作家サーバンによる幻想中篇を2篇収録。

様々な異色作が今後もラインナップされるであろうドーキー・アーカイヴ。非常に刺激的な読書体験を求めてやまない海外文学ファンは是非見逃さないようにしたい。

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