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ウラジーミル・ソローキンの『テルリア』が9月20日発売予定

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Written by ORE ORE

現代のロシア文学を代表する作家、ウラジーミル・ソローキンの『テルリア』(松下隆志 訳)が河出書房新社より2017年9月20日発売予定だ。

ウラジーミル・ソローキンはモスクワ出身の作家。大学を機械工学の学位を取得し卒業、絵画やデザインなどで多くの美術展に参加し、50冊に及ぶ書籍デザインを手がけた。その後1983年、28歳のときに『行列』を書き、作家としてのキャリアをスタート、フランスの出版社Syntaxeより1985年に出版された。暴力性や過激な作風が特徴のロシアを代表するポストモダン作家だ。2001年にブッカー賞受賞、2010年にゴーリキー賞を受賞。

日本で最初に翻訳されたのは1998年、国書刊行会の企画、文学の冒険シリーズより『ロマン』。19世紀、都会の生活から故郷へと出戻りしたロマンが小村で結婚式の日に斧を取り新妻とともに殺戮を始めるという、異端たる彼の作家性を十二分に感じられるショッキングな作品だ。1999年に同じく国書刊行会から短編集『愛』が刊行、その後しばらく彼の作品が日本語訳で読める機会は失われていたが、2010年の『早稲田文学3』で『青脂』の抄訳が掲載、その後は河出書房新社から『青い脂』、『親衛隊士の日』、更に『ブロの道』、『氷』、『23000』の氷三部作の翻訳が次々と発売、昨年には『青い脂』も文庫化され、ここ数年で日本国内でも大きく知名度を高めている。

そして今回翻訳される『テルリア』は2013年に書かれた作品。翻訳はお馴染みとなった松下隆志によるもの。多くの海外文学ファンの期待を集めてやまないソローキンの翻訳作品が、休む間もなく我々に届けられる幸運に喜びつつ発売を待ちたい。

21世紀中葉、近代国家が崩壊し、イスラムの脅威にさらされる人々は、謎の物質テルルに救いを求める。異形の者たちが跋扈する「新しい中世」を多様なスタイルで描く予言的長篇。

ウラジーミル・ソローキン (ソローキン,ウラジーミル):
1955年ロシア生まれ。コンセプチュアリズム芸術運動に関わったのち、83年『行列』で作家デビュー。「現代文学のモンスター」の異名をとる。主な作品に、『ロマン』『青い脂』『氷3部作』、短篇集『愛』など。

松下 隆志 (マツシタ タカシ):
1984年生まれ。日本学術振興会特別研究員。訳書に、V・ソローキン『青い脂』(共訳)、『氷』『ブロの道』『23000』(氷三部作)、『親衛隊士の日』がある。

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