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ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』と『地図と領土』の文庫版が河出書房新社及びちくま文庫から発売

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Written by ORE ORE

フランスの作家、ミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』が河出書房新社から10月6日に、『地図と領土』が筑摩書房から10月7日に文庫版で発売される。

2015年9月に『服従』が河出書房新社から出版されたばかりで話題の中、筑摩書房からの『素粒子』以来の久々となる文庫版は、問題作と名高い『プラットフォーム』と、2013年に翻訳出版されたばかりの『地図と領土』だ。

文庫版プラットフォーム(河出書房新社)

“「なぜ人生に熱くなれないのだろう?」――圧倒的な虚無を抱えた「僕」は父の死をきっかけに参加したツアー旅行でヴァレリーに出会う。高度資本主義下の愛と絶望をスキャンダラスに描く名作が遂に文庫化。”

『プラットフォーム』はミシェル・ウエルベックの2001年に発表された2作目の長編小説で、セックスツーリズムから始まる物語。最初の邦訳版は2002年に角川書店から出版されている。人間嫌いな作家の嫌悪の発露とも感じられる文章が遺憾なく発揮されているので、『素粒子』と並んで彼の作風やエッセンスを存分に味わえる。

文庫版『地図と領土』(筑摩書房)

“孤独な天才芸術家ジェドは、世捨て人作家ウエルベックと出会い友情をはぐくむが、作家は何者かに惨殺される。最高傑作と名高いゴンクール賞受賞作。”

『地図と領土』は2010年に発表された作品で、邦訳も2013年にされており、比較的早い文庫化だろう。作家本人が作中に登場しあまつさえ主人公と友愛を結び、且つバラバラに殺害され、オブジェのように並べられたりしている。ちなみにウエルベックの作品は何度かゴンクールにノミネートしているが、この作品が初の受賞作となった。

『服従』(河出書房新社)

ついでに紹介すると『服従』は現在ウエルベックの最新作で、2022年のフランスがイスラーム政権になるというSF作品。発売日がシャルリー・エブド襲撃事件の当日という奇跡的な間の悪さで大いに話題となり、ウエルベックも友人のイラストレーターを殺害され、作品の広報を控えたという曰くのあるものだ。果たしてこの作品がそれほど激しい文面であるかは是非読んで確認して貰いたい。現実のセンセーショナルな文脈が、本当に作品と結びついているかの判断はその後でも良いだろう。

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