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「カーペンターズ・ゴシック」 ウィリアム・ギャディス の新刊発売

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Written by sn22000 sn22000

国書刊行会より9月25日「JR」で知られるアメリカのポストモダニズムの作家、ウィリアムギャディスの新刊が発売した。ドン・デリーロやトマス・ピンチョンなどの作家と並んで評される超高密度文体のポストモダン作家の新作だ。

全米図書賞&日本翻訳大賞受賞作『JR』では金融ブラック・コメディというようなテーマに、文学としての厚みを加えた話題作だっただけに、次作への期待が高まる。翻訳は、トマス・ピンチョンの「逆光」や上述の「JR」の翻訳にも定評のある木原氏だ。

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今は亡き大鉱山主の娘エリザベス・ブースは、ハドソン河畔にある古いカーペンター・ゴシック様式の屋敷に、夫ポールと暮らしていた。
山師気質で粗暴なポールは、メディアコンサルタントとしての成功を目論見、いくつもの胡散臭い事業の立ち上げを画策し動き回っている。
ひっきりなしに屋敷にかかってくるいくつもの電話、そして訪ねてくる怪しい男たち。
彼らが交わす錯綜した会話の断片からは、CIA、FBI、放送局、種子販売会社、鉱山開発会社などの影が垣間見え、やがて巨大利権をめぐる遠大な世界的陰謀へと話は広がり、エリザベス自身もそこで起こる事件へと巻き込まれていく……
全米図書賞受賞『JR』の作家ギャディスによる、一軒の屋敷を舞台に繰り広げられる、超絶技巧×超高密度文体のゴシック・サスペンス&黙示録的狂騒会話劇。

ウィリアム・ギャディス (ウィリアムギャディス)

1922年ニューヨークに生まれる。ハーバード大学を中退後、「ニューヨーカー」誌の校正者などを経て、『認識』(1955年)でデビュー。ジェイムズ・ジョイスを継ぐ作家と激賞されたが、作品の長さと難解さのために、当初はカルト作家として一部に知られるのみだった。その後、社内文書作成の仕事の傍らに書き上げた『JR』(1975年)で全米図書賞を受賞。これにより、「読まれざる大作家」だったギャディスの実力が広く認められた。その後『カーペンターズ・ゴシック』(1985年)を発表。そして『フロリック・オブ・ヒズ・オウン』(1994年)で二度目の全米図書賞を受賞した。1998年死去。寡作ながらも、トマス・ピンチョンやドン・デリーロ、ジョゼフ・マッケルロイなどにも決定的な影響を与えた、現代アメリカ文学の最重要作家の一人である。その他、遺作中編『アガペー・アゲイプ』(2002年)やエッセイ集などがある。

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