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Aphex Twinの天才性。フジロックに降りた変態神。

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Written by sn22000 sn22000

豪雨の中、FUJIROCK2017に登場したAphex Twin。

松居一代や石破茂、野々村議員などをVJで使用したということで、現場に爆笑の渦と、若干の緊張感をもたらした。(VJを担当したのはUKのWeird Coreとのこと。)Aphex Twinはなんなのか?人なのか?プロジェクトなのか?わからんが楽しい/わけわからん—という感じで小沢健二が終了し流れてきた客も多かった会場(グリーンステージ)はシュールな空気に包まれた。

またLineのApp「Snow」を彷彿とさせる顔入れ替えのアプリのエイフェックスツインVerを作っていたようで、客席を全員エイフェックスツインのFaceにして会場のドデカいモニターに生中継した。会場は雨にも負けず最高な状態になり、テクノの魔法は完全に復権した。(今回のライブではアンビエント的なアプローチは少なかった)

天才と云われるアーティストAphex Twinとは

Aphex TwinはWARPのアーティスト。本名はリチャード・D・ジェイムス。テクノとアンビエントを軸にしてエレクトロニカ、アシッドハウスを混ぜ込んだ曲で、非常に多彩な曲を作り出している。アイルランドのリムリック生まれ、イングランド育ち。若き日に自社レーベルを立ち上げるが、やがてワープに所属し、いまのエイフェックス・ツインの体制となる。いわゆるコーンウォール派といわれる組織を持っており、自身がライナーノーツを書いたスクエアプッシャーもその一人だ。

彼の作品の中でもとりわけSelected Ambient Works 85-92の評価は非常に高く90年台最高のアルバムと世界中の雑誌で絶賛されるアルバムだ。

近年ではウェブサイトもリニューアルし、物販やデータ販売など、音楽のビジネス構造の変化にたいして意欲的に活動を行っている。彼が天才といわれる所以は、その音楽領域の広さも去ることながら、ビジネス全体への感覚にも宿っていて、グラフィックなども世界に非常に大きな影響を与えている。

代表作ともいえるWindow Lickerではクリス・カニンガムを起用した。クリス・カニンガムは魔的な表現を求めるアーティストからは当時引っ張りだこで、多くの作品を作っている。どこかタランティーノを思わせるような導入のMVは当時センセーショナルな話題となり、音楽雑誌やメディアではこぞって深読み競争がはじまった。彼自身はこのヴィデオには出演していないが、顔は全員彼の顔に置き換わっている。思えばSnowやカメラアプリのアイデアは、Aphex Twinのほうが先なのだ。(驚くことにこのアイデアとビデオは1999年に制作されている)

悪ふざけの極北のようなライブパフォーマンスや表現、ギュイギュイと絞ったノイズ、髪の毛が震えるようなベース・ドラム、プログラマの画面のようなデータの束、客席に向けられるビーム(ポケモンフラッシュの比ではない。てんかんを起こしても不思議ではない光量が客席にビカビカと降り注ぐ)、レインボーに光る野々村議員。それら一つ一つではモノにならない「悪ふざけ」をバランスしながら表現するのがリチャードDジェイムス/エイフェックス・ツインの天才性だ。

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