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Chihei Hatakeyamaが選ぶ2015年ベストアルバム10枚

10 BEST ALBUMS OF 2015

Curry Robo

Written by Curry Robo Curry Robo

12月11日 Chihei Hatakeyama

今回は、美しいアンビエント・ドローン作品群で知られるアーティスト、White Paddy Mountainレーベル、そしてマスタリング・録音エンジニアなど幅広く活躍する Chihei Hatakeyama による2015年のベストアルバムとコメントをご紹介。
 


1.Duane Pitre / Bayou Electric

Bayou Electric

 


2.Oren Ambarchi / Quixotism

Quixotism


 


3.Ian William Craig / Cradle For The Wanting

Cradle For The Wanting


 


4.Jamie xx / In Colour

In Colour


 


5.Jim O’Rourke / Simple Songs

Simple Songs


 


6.Steve Hauschildt / Where All Is Fled

Where All Is Fled


 


7.Kink Gong / Tanzania

Tanzania


 


8.Sean McCann / Ten Impressions for Piano & Strings

Ten Impressions for Piano & Strings


 


9.Helen / The Original Faces

The Original Faces


 


10.Jonny Nash / Exit Strategies

Exit Strategies


 


 
今年もあっという間に過ぎてしまい、最初にこのアルバムもと選んだのはだいたい2014年リリースだった。
1位のDuane Pitre は日本ではあまり紹介される事がないけれど、importantrecordsからリリースする重要なミニマリストです。
今作では、瞑想的なドローンにフィールドレコーディングを重ねるという手法的にはやや保守的とも言えますが、完成度が非常に高く、しばらくはアンビエント・ドローン界隈はこの保守的な手法をどこまで、研ぎすましていけるのかという事になっていきそうな感じでもありますし、やや予想も付かない新たなムーブメントも起こるかもしれません。
2位はおなじみのOren Ambarchiの新譜。U-zhaanなども参加していて、大胆にリズムを導入しました。恐らくモートン・フェルドマンなどのコード感にスティーブ.ライヒ的なミニマリズムを融合させるという基本コンセプトなのかなと思いましたが、これもそれを可能にする技術力があってのものなのかなと。
自分の中では、jazzに置けるジョン・コルトレーン的な存在です。3位は前作も素晴らしすぎたIan William Craigの新作。元々オペラ歌手という事もあってアンビエントに大胆に歌を導入。声を楽器的に使うという手法もここまで極まったのかという感触です。また今作では全てテープに通して加工しているようで、テープの歪みがいい感じに入っているのですが、レコード盤で聴くとレコード盤のノイズなのか、狙いのノイズなのか今一判別できず。正直CDでもリリースして欲しいと思いました。4位のJamie xx は何故かハウスになってしまうのですが、この夏一番聴いたアルバムです。音数もあまり多くなく、絞りに絞った音色と展開、アルバム構成が素晴らしいです。
5位はJim O’Rourkeです。待ちに待った歌もの新アルバムです。ジム・オルークのシャウトなど完全にノックアウトされました。
全体的な印象としては、新たな手法が出てきたなというよりも、手法を洗練させていく方向の年だったのかと思いました。今年もレコードとCDをつい自分の音楽視聴時間以上に買ってしまうので、買ってから聴くのに2~3月間のタイムラグがでてしまう。そこで今回ベスト2015年をという事でしたので、溜まりに溜まったレコードやCDを聴きまくりました。楽しい時間をありがとうございました。

 


 
次回のベストアルバムは、映画音楽的な手法にロック、ジャズ、ノイズ、エモ、即興といったサウンドが融合したマルチ・インストゥルメンタルバンドsgt. のドラマー 大野均がセレクトしてくれる。楽しみにしていて欲しい。
 

■Chihei Hatakeyama

Chihei Hatakeyamaとして2006年にKrankyより、ファーストアルバムをリリース。以後Room40, Home Normal, Own Records, Under The Spire, hibernate, Students Of Decayなど世界中のレーベルから現在にいたるまで多数の作品を発表。デジタルとアナログの機材を駆使したサウンドが構築する美しいアンビエント・ドローン作品が特徴。ヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ、韓国など世界中でツアーを敢行し、To Rococo Rot, Tim Heckerなどと共演。NHKのEテレ「schola 坂本龍一音楽の学校シーズン3」にて、アルバム『River』収録の”Light Drizzle”が紹介され、坂本龍一、岩井俊二らからその場を空気を一変させる音楽と評される。映画音楽では、松村浩行監督作品『TOCHKA』の環境音を使用したCD作品「The Secret distance of TOCHKA」を発表。第86回アカデミー賞<長編ドキュメンタリー部門>にノミネートされた篠原有司男を描いたザカリー・ハインザーリング監督作品『キューティー&ボクサー』(2013年)でも楽曲が使用された。またNHKアニメワールド:プチプチ・アニメ『エんエんニコリ』の音楽を担当している。ソロ以外では伊達伯欣とエレクトロ・アコースティックデュオOpitopeとして、SPEKKから2枚のアルバムをリリース。佐立努とのユニットLuis Nanookでは電子音と伝統的なフォークサウンドが混ざり合う音楽世界で2枚のアルバムをリリース。ASUNA、Hakobune等ともコラヴォレーションアルバムを発表。マスタリング・録音エンジニアとしても、自身の作品のみならず、100作品以上を世に送り出している。2013年にはレーベルWhite Paddy Mountainを設立しShelling, Family Basik, neohachi, Federico Durand, suisen, Satomimagaeなどをリリースしている。

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アートや音楽の事を考えて活動するロボ デス。 エネルギー源はカレー デス。
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