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DJ 蟻 [ari] が選ぶ2015年ベストアルバム10枚

10 BEST ALBUMS OF 2015

12月15日 DJ 蟻 [ari]

moph records 相談役 , Electronicaを中心としたDJプレイや、即興的なLIVEパフォーマンス等で知られる DJ 蟻 [ari] a.k.a. SoniCouture による2015年ベストアルバム10枚をコメントと共にご紹介。

 


Arca 『Mutant』

Mutant

ビョークのアルバムにも参加したロンドン在住のアレハンドロ・ゲルシのプロジェクト Arca の2nd アルバム。前作が話題になっていたけど、僕的には今作の方が圧倒的に好きです。暴力的でありながらガラスの様な繊細さ、破壊的でありながら甘美的でメロディアス、既成の枠に囚われず自由奔放に音を鳴らしまくるポジティブなエクスペリメンタル・サウンドはとても聴き易く、どこかポップな作品に仕上がってます。エクスペリメンタル系の音楽を聴いてみたかった人は入門に最適な名盤。
 


ONEOHTRIX POINT NEVER 『GARDEN OF DELETE』

GARDEN OF DELETE

ダニエル・ロパティンのプロジェクトの7th アルバム。こちらは前作がWarpからリリースされ、かなり話題になりましたが、前作『R Plus Seven』のポスト・クラシカル&前衛音楽路線からガラリと変わり、エクスペリメンタル系のサウンドになってます。それ以前のNNA Tapes、Mego、software時代の音に戻っただけなんで、僕的には今作の方が圧倒的に好きです。こちらもエクスペリメンタル系ですが、とてもメロディアスで聴き易い作品に仕上がっています。先に紹介したArcaとの違いは、こちらの方がサントラ的で、少しだけボカロ的?な要素も入っており、今の日本の若いアーティストと同じ様なテイストが感じられ、若い人はこちらの方が入り易いかもしれません。
 


XINLISUPREME 『始発電車(The First train)』

始発電車

2002年にイギリスの名門 Fatcat records から1st アルバムデビューを果たした日本人アーティスト。突如、2012年に復活し、Virgin Babylon recprdsから2ndアルバムを発表。今作は最新作となる3th アルバムにあたります。前作は暴力的な初期衝動に溢れていましたが、今作では音が適度に整理され、聴き易くなりました。暴力的でノイジーな耽美的メロディは強烈な印象を残し、儚げな美しさを永遠に固定することに成功した希有な作品。エクスペリメンタル好きはもとより、シューゲーザー・ロック好きな人にも聴いて欲しい1枚。
 


Heathered Pearls 『Body complex』

Body complex

4つ打ち系で気に入ったのは、Moodgadgetレーベルの運営者のひとりであり、Ghostly InternationalのA&Rでもある Jakub Alexanderの2nd アルバム。とても心地よく鳴り響くシンプルで音響的なテクノ・サウンドは、まるでオーロラのよう。Kickの音もしっかりしているので、DJ的にも非常に使い易く、イザという時にとても重宝してます。全体としてしっかり纏まったアルバムとなっており、良い作品です。
 


Rival Consoles 『howl』

howl

ロンドンのRyan Lee Westによるプロジェクト Rival Consoles の3rd アルバム。4つ打ち系を基調に、変則なビートを織り交ぜて繰り広げられる心地良いダンス・アルバム。情緒的なメロディと適度にエクスペリメンタル的な要素が入ってくる、そのバランス感覚が絶妙で、フロア、リスニング、どちらでもOKな作品。ストイックさとポップさを兼ね備えた不思議なアルバムに仕上がっています。
 


Herbert 『The Shankes』

The Shankes

ご存知、ハーバートの新作。こちらも4つ打ち系なんだけど、さすがハーバートさん一筋縄ではいきません。いつになくポップに振り切れており、ダンスダンスしていなくて、どこかクスッと笑ってしまう、聞いてて楽しくなる作品。ビックバンド的と言えばよいのか、大勢でワイワイしながら聴くのが1番正しい聴き方のような気がします。歌ものとしてもしっかりしており、どこか懐かしい感じのする不思議な1枚。
 


Jon Hopkins 『Late Night Tales / V.A.』

Late Night Tales : V.A

『深夜にリラックスして聴く音楽』をテーマとする人気コンピレーション Late Night Tales シリーズをJon Hopkinsがキュレーションした作品。先日、同シリーズをNils Frahmが監修した作品も出て話題になっていましたが、僕的にはこのJon Hopkinsの方が好きです。とにかく全体を通しての流れが素晴しく、滔々と流れる水のようで、ため息をつきたくなる程の美しい作品となっています。Ametsubにも通ずる世界観なので、彼が好きな人は是非聴いてみてください。
 


Giraffage 『NO REASON』

NO REASON

最後にPOPな作品も少しばかり。サンフランシスコを拠点にしているCharlie Yinの最新EP。西海岸シーン特有のカラッとしたエレクトロニック・ダンスは90年代後半のフレンチ・タッチにも通ずるモノがあり、初めて聴いた時はアメリカ版のSTARDUSTだなと思いました。DJで使ってみると音のスカスカ感にビビりましたが 笑。日本盤の最後に収録されている『Tell Me (Qrion Remix)』は僕のこの夏の1番聴いたトラックで、若さの華やかさ・危うさ・儚さを絶妙のバランスで体現していて、この1曲の為にこの作品買う価値ありの傑作トラックです。
 


ODESZA 『IN RETURN』

IN RETURN

この作品は実は2014年10月末発売なんですが、上述のGiraffageと一緒に今年良く聴いていたので、ちょっと紹介してみます。SoundcCloud 2000万回、Spotify 750万回 再生のストリーミング世代を代表するシアトルの2人組のユニットの作品。Vocalモノのチル系ダンス・ミュージックですが、どれも一度聴けば口ずさみたくなるメロディは素晴しいの一言。フロアを超えて、ポップスとして十分機能する楽曲を聴いているとダフト・パンク以降の新世代のスターになりそうな予感が。
 


PARKGOLF 『par』

par

最後は今年、日本人で1番聴いたアルバムは何だろうと考えたら、PARKGOLFのこの1st アルバムでした。とてもDay Tripper Recordsらしい作品で、seiho、metome辺りが好きな人は迷う事無く買いでしょう。全編、捨て曲無しの完成度で、日本のベース系の1つの到達点かもと思わせる完成度です。しかも特典でDLできたこの作品のRemix集のボリュームも凄くて、1枚買ったら、もう1枚リミックス・アルバム付いてきたみたいな感じでビックリ 笑。移動の時とか、何気にこのアルバムを選んで聴いていました。
 


 
最近はエクスペリメンタル系を掘って聴く事が多いです。とにかく型にハマっていないブッ飛んだモノを聴きたいという傾向が年々強くなってきていて、今回は10枚のうち3枚程、そういったエクスペリメンタル系の中で聴き易いモノを選んでみました。その他はエレクトロニカ的な4つ打ち 3枚、コンピ 1枚、ポップなモノ 3枚と全方位的に誰でも楽しめる様に、僕なりにバランス良く選んでみたつもりです。
ここ最近思うのは、以前は音楽を聴けば、映画の1シーンや日常の風景がふっと浮かんだりしましたが、20歳前後の若い人達の作品を聴くとアニメの1シーンやGC的な映像が浮かぶ事が多くなった気がします。日常的に現実世界と仮想空間を自由に行き来して生活している彼らの感覚が音に現れているのかもしれません。仮に同じ場所に立ち、同じ物を観ていても、彼らと僕では見えている風景が全く違うのだろうなと思う今日この頃です。このギャップを面白いと捉えるか、断絶と捉えるかで、色々な事が変わってくると思います(僕は面白い派です 笑)
僕的に2015年を振り返ると、東京以外でも色々DJやLIVE DJ SETができて充実した年になりました。僕を観て下さった皆様、関係者の皆様、ありがとうございました!2016年は遂にmoph records 10周年YEARとなり、色々楽しい動きをしようとスタッフ一同、頑張っております。年明け1月末ぐらいから少しずつ新しい動きを発表していければ良いなと思っていますので、来年も引き続き moph records をよろしくお願いします!
 

 
次回のベストアルバムは、ZOOM LENSPROGRESSIVE FOrMなどでもリリースを重ねる話題の電子音楽家LLLL がセレクトしてくれる。楽しみにしていて欲しい。
 

■ DJ 蟻 [ari] a.k.a. SoniCouture

moph records所属。90年代中頃より大阪でDJ活動を開始。2001年から東京に拠点を移し、2006年に黎明期のmoph recordsに加入し、レーベルオーナーのひとりとして運営に携わる(現在は運営の一線を退き、相談役として在籍) Plaid, Nathan Fake, Ulrich Schnauss, i am robot and proud, Ian O’brien, Claude Young Jr., TM404/Andreas Tilliander,竹村延和など国内外の様々なアーティストと共演している。 Electronicaを中心にDJ PLAYする世界的にみても珍しいスタイルで、原曲に捉われない独自の解釈でジャンルを超えて音を紡いでいく。暖かさ&硬さ、柔剛織り交ぜた音の空間を作り上げ、その独特の世界観には定評がある。ここ最近はDOMMUNEでも好評を博した5台以上のCDJとTENORI-ONを同時に使用し、即興的なLIVEパフォーマンスをするSoniCouture LIVE DJ SETでの出演が多くなっている。EMAF TOKYO、off-tone、渋響、Grateful Beer Live Fes.等の大型イベントにも出演し、放送・キャンペーン用のDJ MIXの制作・監修も行うなど様々な方面で活躍が期待される。

http://www.mophrec.net

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アートや音楽の事を考えて活動するロボ デス。 エネルギー源はカレー デス。
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