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Soejima Takuma が選ぶ2015年ベストアルバム

10 BEST ALBUMS OF 2015

Curry Robo

Written by Curry Robo Curry Robo

12月19日 Soejima Takuma

今回は、1stアルバム『Boupuet(PROGRESSIVE FOrM)』が話題のSoejima Takumaによる2015年のベストアルバムをコメントと共にご紹介。

 


今年のベストアルバム10枚を選ばせていただきました。(実は2014年の作品もありますが、一応当企画のお話を頂いてから1年という換算で2014年11月以降のリリース作品から…)
今年は11月以降が注目作品のリリースが相次いで、選ぶのが大変でした…。思いついた順番に書いていったので、選出の順番に特別な意味などはないです。

FourColor 『Ballet』

Ballet

カセットテープでのリリース作品。全体を通してアンビエント色の強い作風ですが、随所に織り込まれるさり気ないビートや減衰音がアルバム全体に美しく溶け込んでおり、素晴らしいです。ややローファイ感のあるアンニュイな音色も癖になります。こういった細かいグリッチやサンプリングでアンビエントを作ってる方は少ないので楽しく作品が聴けます。

 


Arca 『Mutant』

Mutant

今年もっとも注目されていた作品の一つですが、期待通りの内容でした。この作品については多くのライターの方が素晴らしい記事を書いていらっしゃるのでそちらを参考に…笑

 


Long Arm 『Kellion: the Stories of a Youn』

Kellion- the Stories of a Young Boy

しっかりとしたビートミュージックの側面を備えつつ、ストーリー性の強い作品でした。ヨガとダンスが同居したような静と動のバランス感覚がすごく良くて、気付いたらアルバムが終わってしまう、そんな作品です。

 


DIR EN GREY 『ARCHE』

ARCHE

このバンドやっぱりすごいなと思うのは、今回のアルバムも全体を通して例に漏れずいつも通りかなり激しいのですが、VULGAR以降の全て作品が激しさの中に静けさを孕んでるといいますか、世界の終わりの中で祈るようなそんな音楽です。今作はデスボイスなどの要素は極端に減っていますが、キャッチーさはなく、ややエクスペリメンタルな印象です。

 


入江陽 『仕事』

仕事

僕はこの手のジャンルに疎いのですが、この作品はソウルミュージックの名前を呈しながら、サンプリング(と思うのですが…)的なカットアップ手法や打ち込み要素が多く、ヒップホップライクな印象も感じられ、最後まで馴染みやすさがありました。クラブミュージシャンに特にオススメしたい一枚です。

 


服部峻 『MOON』

MOON

ありとあらゆる音が入り乱れたあまりに異質かつ荒唐無稽な世界観です。Arcaなどのポストインターネット勢と共通性があるように一見見えますが僕には全く異なるルーツが感じられました。少し荒削りな部分が逆に魅力に転じていて今年リリースされたすべての作品の中でも群を抜いて素晴らしいものでした。

 


DALLJUB STEP CLUB 『We Love You』

We Love You

複雑で刺激的なリズム構成にも関わらず、自然と身体が踊りだすようなエネルギッシュな作品でした。ドラムが高めの音域でアプローチする反面、ベース音が図太い音作りで上手くカバーしており、バランスの良さも素晴らしいです。噂ではLIVEがかなりすごいとのことなので、一度は生で拝見してみたいバンドです。

 


Goldmund『Sometimes』

Sometimes

このアルバム、終始一貫して、インプロ色の強い抑揚のないピアノに、弦やノイズ、リバーブを使ったアンビエンスがただただ優しく穏やかに、そしてどこか物悲しく流れ続けるのですが、たったそれだけのことでアルバム一枚をまるまる聴かせてしまうのがGoldmundのとてつもないところだと再確認しました。このアルバムを聴きながら外を歩くと何て事ない日常の中でほん少しだけ映画の主人公になったような気持ちになれます。

 


lee(asano+ryuhei) 『 ( u _ u )』

( u _ u )

ニューヨークのカセットテープレーベルよりリリースされた作品。牧歌的かつザックリとしたサンプリングがとても印象的でした。暖かみのあるノイズの質感をとても大切にしていて、日曜の昼下がりに外国のラジオを聴いているような、穏やかで優しい気分に浸れます。

 


FLOATING POINTS『Elaenia』

Elaenia

誤解を恐れずに言えばあらゆるジャンルをミニマルミュージックのように無駄なく、かつ高度に簡略化しているように感じました。音そのものはポストインターネットらしさをしっかりと踏まえているのですが、音楽としてとても洗練されていて前衛的というよりはむしろ非常にモダンな作品です。

 


 

次回は「分解系レコーズ」を主宰、独自の世界観を追求するアーティストGo-qualiaによるセレクトだ。楽しみにしていて欲しい。

 


■ Soejima Takuma

1990年生まれ。福岡県出身。17歳より作曲活動を開始。活動を続けていくにつれフォーレやドビュッシー、グバイドゥーリナ、権代敦彦といった近・現代音楽に傾倒するようになり、自身の創作でも和声的なアプローチやミニマル性、アート性を強く意識するようになる。同時に池田亮司や渋谷慶一郎といった非楽音的なノイズミューシャンからも強い影響を受け、緻密に塗り重ねたグリッチノイズやサウンドコラージュを軸にピアノなどの生楽器を織り交ぜるスタイルを確立。2015年に1stフルアルバムである『Bouquet』をPROGRESSIVE FOrMよりリリース。近年ではBunkai-Kei recordsより2014年9月にリリースされたsmanyの2ndアルバムにピアニストとして参加、翌月にはMercedes-Benz Fashion Week TOKYOへの楽曲提供、2015年5月には画家の矢野ミチルとの共同展示など活動は多岐に渡る。

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アートや音楽の事を考えて活動するロボ デス。 エネルギー源はカレー デス。
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